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下町のオステオパシー治療院 みづほ整骨院

電話でのご予約・お問い合わせはTEL.03-3805-0522

〒116-0014 東京都荒川区東日暮里1-2-3

                 みづほ整骨院



       身体の中の隔壁

今年は特に寒い日が続きます。暖冬に慣れてきた私たちにはちょっとつらいですね。「冷え性」にお悩みのかたにとって寒さは大敵です。では何故冷え性になるのでしょうか?冷え性とは病気ではありません。冷え性は健康な方でも日常的に起こる状態です。冷え性の要因として@血行不良A血液の酸素不足が挙げられます。

保温に関してはユニクロさんやイトーヨーカドーさんにお任せすることとして、私にできることは「血行不良の改善と血液の酸素不足解消」です。

人体の流れを良くすることに主眼を置いたオステオパシー療法は骨格と内臓の位置異常を直すことによって呼吸機能の回復し、血行を改善します。

そもそも体温が35度から36度前後に保たれているのは何故だかご存知ですか。

それはタンパク質がそれ以上の温度になると変性してしまうからに他なりません。

火を入れたお肉がどんな事をしても生肉に戻らないように生物の体を構成するタンパク質は熱に対してとても弱いのです。

またそれよりも低いと生命活動が著しく低下してしまいます。人間には体温を正常に保つ仕組みがあり、温度が下がると自ら発熱するようになります。例えば寒いときに身体が震えるという現象は、無意識に自らの筋肉を小刻みに震わせることによって発熱を促して周囲の温度が下がったことに無意識に対処していることなのです。

人間の身体で一番熱を生ずる組織は、脳、心臓、肝臓です。これらは身体の中心にあるため、対照的に手足のような体幹から遠く離れた部分の体温は、体の中心部に比べて低下してしまいます。通常でも手足は体幹に比べて1・2度低いものです。ですから身体の末梢部には常に「血を通わせて」効率よく体温を維持していかなければなりません。

しかし、構造上我々の身体にはそれを邪魔する厄介で、しかも大切な組織があるのです。

                身体の中の隔壁

            

身体の構造の流れは基本的に縦方向に流れています。上から下に、下から上に、重力に従って。あるいは重力に逆らって。血液も体液も全てそのように流れています。主だった筋肉もやはり縦方向にその繊維を走らせています。

この縦方向の構造に対して横方向に広がり、縦方向の流れを遮るように存在する組織を隔膜と呼んでおります。これは人の身体を建物に例えるならば、ちょうど各階を分ける天井や床のようなもので、この隔膜によって胃と心臓が隔てられ、腸と子宮が区別されているのです。

人体の隔膜には様々なものがあり、例えば膝や足首、肘や手首などの関節も、構造的にみると縦の流れを遮る隔膜に含まれます。実はこの隔膜こそが動脈・静脈・リンパのような体液の流れを阻害してしまう場所でもあるのです。

ここでは体幹にある膈膜についてお話させていただきます。

体幹を3階建てのビルに例えると、呼吸運動をするための部屋である「胸郭」、胃や腸など消化器を納めている「腹腔」、子宮、卵巣、膀胱などがある「腹膜下腔」とに大きく分けることができます。

それら三つの大きな部屋を分けている壁は4つあり、上から

@  胸郭隔膜 A 横隔膜 B 腹部骨盤膈膜 C骨盤膈膜

と呼ばれています。

@ 首と胸郭を隔てる胸郭隔膜

           

ここは私がいま一番着目して取り組んでいる場所のひとつです。長時間前かがみで仕事を行うことの多い現代人はどうしても背中を丸めがちになります。そうするとまず圧迫され悲鳴をあげるのは胃と心臓です。胃に関しては次の横隔膜のところでお話ししますが、前かがみになるとこの胸郭隔膜がちょうど心臓に上からフタをするように覆い被さってしまうようになります。胸郭隔膜の動きがなくなってくると首の前にある筋が常に緊張して、その内側にある頸動脈や迷走神経が圧迫されてしまいます。これは頭に行く血液を阻害してしまうので「めまい」や「ふらつき」のような、病院に行っても原因不明で不定愁訴として片づけられてしまうような苦しみの元になります。また心臓は首から吊された袋状の膜に覆われているため、心臓が下方に圧迫されると、心臓自体の重みで首を前から引き下げる力が掛かります。
            


ちょうど上の図のベストのように表面の筋膜が首周りを下に引っぱり、首を締め付けられてしまいます。

首が痛い、首がこると訴える患者さんは例外なくここが固くなっております。いくら首をマッサージしても、一時的にはこりは消失しますが、この場所を軟らかくして首の前方からの圧迫を取り除いてあげないとまたすぐにこってしまいます

A 胸とお腹を隔てている横隔膜

          
隔膜は身体の中心にある隔膜の中の親分です。ここが緊張して動きが弱くなっていると身体に力が入りません。人間は力をいれて何かをするときには、この横隔膜が土台となってしっかり踏ん張らねば力が入りません。横隔膜と後述する骨盤隔膜とが共に緊張することで臍下丹田に力が集まり、力を存分に発揮することが出来るのです。またここは身体の中心に位置するだけあって、全身の歪みをモロに受ける場所でもあります。この横隔膜の上に心臓があり、下に肝臓、胃が位置します。そしてこの横隔膜の後ろ、背骨に近いところに三か所の穴があり、そこに「食道」「大動脈」「大静脈」が通っています。このような構造ですので、この横隔膜の動きが悪くなるとそこを通過するそれらの道が妨げられます。最近増えてきた「逆流性食道炎」や「食道裂孔狭窄症」などはみな、ここが固くなる、あるいは広がって起こる病気です。

心臓から下半身に行く血液は全てこの関門を通過しますのでこの部分の柔軟性が回復すると「下半身のむくみ」、「冷え」なども自然と気にならなくなってきます。


B 腸と子宮・膀胱を隔てている腹部骨盤隔膜

この隔膜は女性であればちょうど子宮の上に張り付いていて、腸と子宮を分けている隔膜です。この隔膜には筋肉のような機能はありません。ですがかなり伸び縮みする膜です。

当然ですよね、妊娠すると左の図のお腹が右の図のお腹になるくらい大きくなるのですから

この隔膜はこのように妊娠すると上に向かってふくらみ、腸を上方に押しやります。そして腸を背中の奥深くに押しつけてしまいます。「産後の肥立ち」といいますが、妊娠期間中このように虐げられた(笑)腸は、出産後になかなか元の位置に戻ろうとしないことがあります。

私はご家族やお知り合いに妊娠された方がいる患者さんに必ず、出産後のなるべく早いうちに治療しに来ることをお勧めしております。それは少しでも早く母体をもとの状態に戻してあげることが「産後の肥立ち」を良くするからです。

この治療は通常2回程の施術で殆ど回復します。ですから産後の早い時期に施術をするととても喜んで頂けます。また体重が元に戻るのに大変有効です。

産後の女性を治療させて頂く機会が増え、出産とはいかに母体に相当の負担をかけるものであると実感しております。

C 体幹の最下層 骨盤隔膜


        

体幹の一番下にある骨盤隔膜はちょうどハンモックのような形で筋肉が内臓を下から支えています。この膜には、直腸、膣、尿道が通過する穴があります。ここは筋肉で構成されていて鍛えることが出来ます。しかし鍛えることが出来るという事は逆に何もしないと衰えてしまうとういうことにもなります。

この部分の衰えは「尿失禁」「子宮脱」などの原因にもなりますが、忘れてはならないことはここの筋力が固くなると男性女性問わず泌尿器系や生殖器が衰え始めます。(逆説的に生殖器系の活力がなくなるとここの筋肉が硬くなるともいえますが)

               

立った状態で後ろからお尻が固く見えるかたは要注意です。この筋は股関節の内転筋に続いていますので、同時に股関節も硬くなります。

泌尿器系や生殖器の「膀胱」「子宮」「卵巣」「前立腺」などの臓器はこの腹部骨盤隔膜と骨盤隔膜の間に位置しますので、この二つの隔膜の間隔が正常になければなりません。「子宮」「前立腺」は身体の中心になければならない臓器です。この二つの隔膜と骨盤のズレによってそれらの臓器もまた正常な位置を維持できなくなってしまいます。

             

身体の隔膜は全て機能的に呼吸運動に重要な役割をはたしております。例えば深呼吸するときは、横隔膜と骨盤隔膜が同時に収縮して呼吸の土台となり、胸郭を広げることができます。また骨盤隔膜が緩み、横隔膜が緊張して腹圧を上げることによって、我々は排泄することができるのです。この隔膜群が相互に機能的
に働かないと呼吸が浅くなり血液の中の酸素量が減少してしまいます。また隔膜は血行の為の重要なポンプ作用をしていますので末梢まで血液が行きづらくなり、その結果として手足の体温が低下してしまいます

鍵を握る交感神経

動脈にはその血管の太さに応じてその中に筋組織が存在します。その筋組織を司る神経が交感神経です。交感神経の大きな幹は脊柱の前側に網の眼のようにネットワークを張り巡らせて対になって首から尾てい骨まで続きます。そして尾てい骨の先端でそれまで対になったものが一つになり不対神経と呼ばれる交感神経の重要な司令塔になります。この不対胃神経こそが下半身の血液循環に大きな役割を果たしているのです。尾てい骨を圧迫することこの不対神経が働かなくなり、下半身の動脈の動きが阻害されます

          

過去に尻もちをついて尾てい骨を強く打ったことのある人はもちろん、現代のオフィスワーカーの多くが長時間座っていることが多くなり左の図のような悪い姿勢でいると、尾てい骨を圧迫し続け、この交感神経の機能を低下させてしまいます。

横隔膜を正常に治す技術はオステオパシーの中でも高度な技術が要求されます。なぜなら、この隔膜は身体の奥の方に位置しているため、通常の治療ではそこに近づくことが出来ないからです。そのうえ多くの場合ここに障害がある方は、長年その状態のまま放置されていることが多く見受けられます。年齢と共に少しずつ前かがみになって胸の周りが固くなってしまっている人は多くの場合、これに当てはまります。当院では全身のバランスを整えながらこの隔膜の異常を一つずつ回復させ、隔膜同士の協調性を整え、呼吸機能の活性化させて、末梢から中枢までの動脈・静脈・リンパの流れを改善させます。

      自宅でできること。

  

先ずは入浴です。これから暖かくなってくると湯船に浸かることが億劫になってきますが、体の末端はエアコンの環境下のほうが冷えるものです。入浴は首まで全身を浸すよりも半身浴をお勧めします。図のように百均で売っているような椅子を湯船にいれて臍から下を良く温めてください。もし寒かったら濡れてもよいシャツなどを上半身に着てもらってもよいと思います。30分もこの状態で浸かっていれば上半身が程良く汗ばんできます。そうしたらシャツを脱いで全身を湯船に浸して充分に温めてください。手足と体幹の温度差はこのようにして克服しましょう。

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MIDUHO OSTEOPATHY

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